小川町の酒蔵と杉玉〜小川町の歴史小噺〜
『おがわ温泉花和楽の湯』では、現在、館内の入り口頭上に緑色の丸い物体が飾られています。 この丸い玉は杉で作られていまして、「杉玉」と呼ばれています。 小川町には、元々、酒蔵が5蔵ありました。 力石、菊泉、武蔵鶴、帝松、晴雲のうち、力石、菊泉がなくなり、現在は3蔵が美味しいお酒造りをしています。 武蔵鶴(創業1819年) 帝松(創業1851年) 晴雲(創業1902年) 和紙とお酒造りは、水が基本であります。小川町の水は、なんといっても和紙とお酒造りにとって最高の水であるのです。ですから、この比企郡地域(1市7町1村)の中で、小川町にだけ酒蔵が残っている理由は、小川町の水が和紙と酒造りには最適であるからです。 新田文子氏 小川町立図書館 館長兼小川町歴史家 「杉玉」とは、「今年も新酒ができました」という目印。 最初の内の杉玉は茶色ではなく本来の緑色をしています。 そして季節が過ぎ夏頃には緑が薄くなり、秋頃には枯れて茶色くなります。 茶色のイメージが強いかもしれませんが、実は杉玉の色から日本酒の旬を知ることができます。 緑色は2月〜6月ごろの新酒の季節、薄い緑は夏酒、枯れた茶色はひやおろしの季節(秋ごろ)というように、日本酒造りの時期と杉玉の色は同調しているといえます。 季節の移り変わりとともに変化していく杉玉の色を見て、日本酒の熟成度合いの変化にも気付くというのは、なんとも日本らしい風情がありますよね。